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2012年12月17日 (月)

鬼才・園子温が影響を受けた17冊の本

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先日までジュンク堂池袋本店で、「園子温監督 選書フェア」というイベントが開催されていた。

園子温監督自らが、影響を受けた本を17冊選んだらしい。

私の家はジュンク堂から遠いので開催期間中に行けなかった・・・。

で、園子温が選んだ17冊ってどんな本なんだろう、と思って調べてみたんだけど、そのブックリストがネット上になかったので、ジュンク堂池袋本店に直接電話してきいてみた。

リストは以下の通り。



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金子光晴の代表的な詩を初期から晩年にいたるまで収録した文庫本。

園子温は17歳で詩人としてデビューしていたので、その当時に影響を受けていた本だと思う。

同じ愛知県出身の詩人ということで親近感を得ていたのかも。

金子光晴は、日本の伝統や権力支配の構造を暴露・批判したことで知られる詩人。

代表作の詩集『鮫』(すべて収録)は、徹底したエゴイストで、一貫して「異邦人」でありつづけた作者の本領が発揮された昭和詩史上最も重要な作品の1つ。

ほかに『こがね虫』『蛾』『落下傘』『愛情69』といった詩集から秀作が収録されている。



02 寺山修司 『青少年のための自殺学入門』













充分に生きるために、死の確固たる思想を打ち立てることを軽妙な筆致で提唱する、寺山修司版自殺マニュアル。

「園子温は寺山修司と似ている」と指摘する人もいるので、この本をはじめとする寺山修司の本に多大な影響を受けていると思われる。

実際に園子温は、13歳のときに寺山修司監督『書を捨てよ町へ出よう』に衝撃を受け、17歳のときに寺山修司の影響で東京へ家出している。


03 ファスビンダー 『ブレーメンの自由』


ニュー・ジャーマン・シネマの代表的作家ファスビンダーの戯曲。

工場経営者の妻、ゴーシェが女性としての抑圧を逃れるために次々に殺人を犯していく物語。
園子温の激しい作風はこういうところから影響を受けたのかな...と思う部分が多い。


04 パゾリーニ 『パゾリーニ詩集』

異端と醜聞、歴史と性愛の交錯点で、20世紀イタリアを駆け抜けた不世出の詩人の軌跡。

映画監督(『ソドムの市』『アポロンの地獄』『テオレマ』『奇跡の丘』など)や
小説家(『生命ある若者』『アッカトーネ』など)としてのパゾリーニは日本でも有名。

だけど、詩人としてもパゾリーニは天才的な才能を発揮した。

園子温は詩人としてデビューした頃に影響を受けていたのかな、と思う。



05 近代映画社、SCREEN編 『ヴィットリオ・デ・シーカを感動する』


イタリアのネオ・リアリスモ(ネオリアリズム)の先駆者であり巨匠である、ヴィットリオ・デ・シーカの作品の数々をその映画人生と共に分析した貴重な一冊。

ヴィットリオ・デ・シーカは、1951年の『ミラノの奇蹟』でカンヌ国際映画祭グランプリを、1971年の『悲しみの青春』でベルリン国際映画祭金熊賞を受賞している。

ほかに作品は、『靴みがき』、『自転車泥棒』、『昨日・今日・明日』、『ひまわり』など。



06 ジャン・ジュネ 『泥棒日記』


ジャン・ジュネはフランスの作家で、窃盗や乞食、男娼、わいせつ、麻薬密売といった犯罪を繰り返して投獄されていた経験を持つ。

刑務所の中で書いた作品で才能を認められ、終身禁固刑の求刑を前にジャン・コクトーらが介入し、自由の身となった。
その後にサルトルらの請願により、大統領の恩赦を獲得したことでも有名。

この『泥棒日記』は1949年に出版されたジュネの代表作である「半自叙伝」。
この小説は、悪徳の哲学的表現であり、退廃の美学作品といえる。

サルトルが言うには、同性愛、盗み、裏切りを犯罪者側の視点で描いた完成度の高い作品はジュネ以前はなかったのだそう。
日本では三島由紀夫もこの作品を絶賛しており、ジュネのほかの作品では推薦文も書いている。



07 大島渚ほか 『パゾリーニ・ルネサンス』


大島渚、四方田犬彦、浅田彰、大野裕之といった豪華執筆陣が、孤高の映像作家・詩人パゾリーニのすべてを語り尽くす。

日本ではどういうわけか、パゾリーニの評論本はこれまでほとんどなかった。

この本ではパゾリーニを深堀りしていくことはもちろん、イタリアの表現全般について(映画・文学など)についても書かれている。



08 石井輝男 『完本 石井輝男映画魂』


以前ワイズ出版から出ていた『石井輝男映画魂』に新データや原稿を加え、グラビアページを削除し、改変、文庫化した完全版。

センチメンタリズムとモダニズム、耽美と猟奇…、「網走番外地」シリーズや異常性愛路線…。

奇想あふれる石井映画の世界を、萩原朔太郎賞受賞詩人・福間健二によるインタビューと詳細フィルモグラフィーで集成。

『リングの王者 栄光の世界』から『ゲンセンカン主人』までの全作品インタビュー、『ゼンセンカン主人』から『盲獣vs一寸法師』までの論考、全作品新版フィルモグラフィー。



09 ヘンリー・ミラー 『北回帰線』


現代アメリカ文学の代表的作家ヘンリー・ミラーは、大胆な性描写や、現代文明への激しい批判にあふれた作風で知られている。

この『北回帰線』はミラーの代表作で、性描写が大胆すぎるため長年発禁処分をなっていた。



10 渋谷哲也、平沢剛 『ファスビンダー』


この本はファスビンダーの研究本。

ファスビンダーへのインタビュー2本や、ファスビンダー作品の常連女優による座談会も収録している。
国内外の評論家がファスビンダーについての論考を寄せている貴重な本。



11 大島渚 『わが封殺せしリリシズム』


日本のヌーヴェル・ヴァーグの旗手として戦後日本映画を牽引した革命児・大島渚。

世界的な映画作家の感動的なエッセイ集。



12 中原中也 『中原中也詩集』


中原中也は、平易な言葉で耽美で切ない世界をえがいた戦前の詩人。

若い頃の詩人としての園子温に影響を与えたのだろうと思う。
中原中也の入門書としてもいける一冊。



13 立松和平 『映画主義者 深作欣二』


深作欽二は『仁義なき戦い』シリーズや『バトル・ロワイアル』などで知られる言わずと知れた邦画界の巨匠。

この本は、立松和平が深作欽二の周辺に取材を重ねた渾身のノンフィクション。
菅原文太、千葉真一、山城新伍、岡田茂、高岩淡などにインタビューしている。



14 ロートレアモン 『ロートレアモン全集』


ロートレアモンは、1846年、南米ウルグアイの首都モンテビデオ生まれ。

特異な散文作品『マルドロールの歌』を刊行し、1870年に24歳でパリにて死去。
生前はまったく無名であったが、20世紀になって再発見され、今日ではランボーなどと並ぶ最も重要な詩人のひとりとして熱狂的な支持を受けている。

強烈な毒を孕んだ麻薬的魅力で人を惹きつけて放さない『マルドロールの歌』、深い謎を秘めた『ポエジー』などを収録。

最新の研究をふまえたコンパクトな註解がついている。



15 ファスビンダー 『ゴミ、都市、そして死』


登場人物は売春婦、そのヒモ、金持ちのユダヤ人(地上げ屋)、 その取り巻き(おべんちゃら使い)、警察署長、マリー=アントワネット、など。
これらは作者が都市住民を代表するものとして選りすぐったものということらしい。

ファスビンダー関連の本が17冊中3冊もあるので、ファスビンダーは園子温にかなり影響を与えているんだろうと思う。



16 ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟』





ロシア文学の巨匠中の巨匠ドストエフスキーの最高傑作にして、集大成的作品。

世界文学の歴史上、最高傑作であると言う評論家も多い。
小説のあらゆる面白さが詰め込まれている。

物欲の権化のような父フョードル・カラマーゾフの血を、それぞれ相異なりながらも色濃く引いた三人の兄弟。

放蕩無頼な情熱漢ドミートリイ、冷徹な知性人イワン、敬虔な修道者で物語の主人公であるアリョーシャ。

そして、フョードルの私生児と噂されるスメルジャコフ。
これらの人物の交錯が作り出す愛憎の地獄図絵の中に、神と人間という根本問題を据え置いた世界文学屈指の名作。

長編小説なのにあっという間に読了してしまう面白さがある。



17 ロベール・ブレッソン 『シネマトグラフ覚書』

『抵抗』、『スリ』から『ラルジャン』まで、傑作の数々を監督し、現代フランス映画史上に屹立する巨匠ブレッソン。

4半世紀にわたり、演出のかたわらで彼が綴りつづけた《映画=シネマトグラフ》への、叡知にみちた言葉たち。

氾濫と囲繞が問われる映像の時代に、その意味と可能性を真摯に考えるすべての人々へむけ、若き詩人の繊細な訳をとおして贈られる断想集。




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そのほかに、園子温関連の本も並べられていたとのこと。




園子温 『非道に生きる』

園子温が半生を赤裸々に語った自伝型エッセイ。

子供時代や下積み時代の行動、観客を集める為に行った営業方法など、正に天才だと感じるエピソードも多数紹介されている。



松江哲明ほか 『園子温映画全研究1985-2012』

園子温とも親交がある2人(映画監督・松江哲明と映画評論家・モルモット吉田)が園子温の全映画作品を研究した本。

園子温は一般に知られていない作品も多いのでこの本はかなりタメになる。マストアイテム。



園子温 『希望の国』











映画 『希望の国』 の原作で、半ドキュメンタリー小説。

「約何万人が死んだ、苦しんだ。
文学なら、映画なら、正確に数えあげろ!
たった一つの何かを無視するな! 」

福島での原発事故をモデルに、原発事故が引き起こす家族の物語を描く。


ダリオ・トマージほか 『カオスの神、園子温』












ヴェネツィア、トリノで絶賛したイタリア評論家陣による園子温批評が待望の邦訳。

デビューから最新作『希望の国』までのレビューと論考、本人へのインタビューも収録。

「<憎しみ>はあらゆる感情の中でもっとも<愛>を含んでいる。
憎しみは愛の源泉で、愛の始まりだ。僕は<憎む>人間だ」

大島、寺山といった日本人監督のほか、パゾリーニ、ファスビンダーなど世界の巨匠との
比較考察を基に、グローバルな映画史の観点から読み解いていく。
<世界>の園子温が見えてくる、初の本格批評集。



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私は、ここで紹介した21冊(17冊+4冊)は全部読もうと思っている。

(今15冊くらい読んだところ...)

純粋に面白い本が多いので園子温の映画をまだ観たことがない人にも是非読んでほしい。




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コメント

大変参考になりました。ありがとうございます。

>大変参考になりました。ありがとうございます。

コメントしていただき、ありがとうございます。
お役に立てて幸いです。

園監督のファンとして、彼の思想の根幹を垣間見れるであろうこの情報はとても有難いです。

>園監督のファンとして、彼の思想の根幹を垣間見れるであろうこの情報はとても有難いです。

コメントをいただきましてありがとうございます。
参考にしていただけましたら幸いです。

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