2014年3月18日 (火)

長谷川和彦が選ぶ、世界の映画監督ベスト3

今、庭の倉庫で埃をかぶっていた古い本、1977年刊の朝日新聞社『グラフ外国映画史 世界の名監督100人』を発掘してきた。

この本は4年くらい前に高円寺の古本屋「アニマル洋子」で買ったものだ。

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(※アニマル洋子)

で、ずっと読まずにほったらかしてた。ごめん本。

それで今になって読んでるけど面白い本だった。

この本では「監督の選んだ世界の監督べスト3」という企画を特集していて、

そこで6人の日本人映画監督がそれぞれ好きな監督を3人ずつ挙げている。

で、その6人の監督というのが結構豪華。

長谷川和彦鈴木清順増村保造熊井啓羽仁進篠田正浩の6人。

1人1ページずつインタビュー形式で好きな映画監督について語っていて、結構読み応えがある。

せっかくなのでこのブログで6人分全文紹介していく。

まず今回の記事では長谷川和彦のインタビューを全文掲載する。

長谷川和彦は、『青春の殺人者』(1976)、『太陽を盗んだ男』(1979)という2本を世に送り出した後、

映画監督として映画を撮るのをほとんど辞めてしまったわけだが、

このインタビューが行われた1977年は、2つの作品が公開される合間の時期だ。

当時長谷川はまだ31歳で、この前年には、『青春の殺人者』で映画監督デビューし、

キネマ旬報ベスト・ワンに選ばれるなど多くの映画賞を独占している。

掲載するにあたって、ときどきお世話になっている長谷川和彦について詳しいサイトにすでに載っていれば
リンクをした上でコピペさせてもらおうかと思ったが悲しいことになかったので、
全文手打ちすることにした。

↓ 以下インタビュー記事 ↓

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■見世物とアンチヒーロー

---まずお好きな監督は?

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(※ドナルド・クリスプとキートンの共同監督による『海底王キートン』1924年)

キートンは第一にあげたい。キートンのどこがいいかは、チャップリンと比較するとわかりやすい。

つまり、チャップリンの笑いの質というのは安全なのであり、彼の笑いのベースにあるのはヒューマニズムなんですよ。
そのため、時としては説教くさくなる。

でもキートンは、もっと飛んでいる感じがするのね。
言ってしまえば、彼の笑いはアナーキーでしょう。

つまり、チャップリンは本質的にインサイダーの部分を強く持っているが、キートンのほうは奇形児的存在だと思う・・・・・・いっさい笑わないというのは、泣かせるよね、孤独な感じだし。

あの時代にあれだけばかなことを考えて、それを映画にしてしまった、そこに映画の原点、見世物としての映画の原点があったのではないか。
それをキートンは本能的につかんでいたという気がする。

見世物であるということは、映画にとって非常に大事なことで、つまり僕の好きな映画というのは、やっぱり日記じゃなくて、サーカスみたいなものなんだと思う。

映画が日記のようなものだったら、これは他人に見せる必要はないし、何をやってもいいんだが、金をとって見せる以上、観客との共通の快楽原則のようなものが必要だと思うのね。

それはサービスとか観客に合わせるということではなく、結果として合ってしまうということで、その快楽原則を本能的につかんでいるということが、商業映画の監督に必要な資質ではないのかな。

そういう意味で、キートンはいい。ばからしく面白いものを作ることに、本人が夢中になっているところが・・・・・・。

つまり、観客を啓蒙しようとか、自分の意図する何かを与えようとかいうのは好きじゃない。

それは誰にも多少はあるのだろうけど、そういう、人に何かを与えようということの傲慢さについて知っている人間、そういう精神自体が恥ずかしいということを知っている作家が好きなんだな。

要は、作ってるやつが楽しくて、面白くて、頑張っていて、結果としてそれが観客をも面白がらせれば、それでいいんだと思う。

たとえばサーカスを見てどんな影響を受けたか頭をかかえるなどということがばからしいように、映画も本質的にはそういう見世物だと思う。

もちろん、サーカスと同じ次元だけでとらえるのは難しいが、楽しむということはすごく幅広いことだし、ぼくらが映画を見始めたのも、結局、十円玉を握りしめてわくわくしながら場末の三本立ての映画館に行く、その“わくわく”がよかったので、それを与えてくれる作家が好きだし、自分もそうありたいと思う。

---映画を作ろうと思うようになってから意識した監督というのはいますか?

トニー・リチャードスンの『長距離ランナーの孤独』とか、『蜜の味』などいわゆる“怒れる若者たち”の作品は、やっぱりショッキングだった。

あれを見た時は、こういうネタでも映画が作れるのなら、僕にもやれることがあるなと思った。

アンチ=ヒーローというのはもうパターン化しちゃったけれど、『長距離ランナーの孤独』などはそのはしりじゃないかな。

だいたい、自分がどっちかっていうとダメものだと思ってるから、あんまりカッコいいのや、『スティング』みたいに洒落たものよりは、ダメなやつの話が好きなんだな。

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(※『タクシー・ドライバー』1975年)

それは監督でも同じで、昔から好きなのは『突然炎のごとく』のフランソワ・トリュフォー、新しいところでは『タクシー・ドライバー』のマーティン・スコシーズ、『ゴッドファーザー』のフランシス・フォード・コッポラなんかだな。

どうしてこの三人かというと、要はみんな奇形児なんですよ。

つまり、ネクタイしめて会社へ行くようなノーマルな社会人にはなれないようなダメなやつばっかりだと思う

西洋人としてはなりも小さく・・・・・・、そういうダメな人間としての思いとかが共通しているのじゃないかな。

僕は、今でこそ体も大きいし、喧嘩も強いということになっているけど、昔はチビで悩んだことがあるわけで、もう十センチ背が高ければ世界は変わる、なんて思っていた。

そういうことを本気で思ったことのある人の作品がいいな。

だから、それを思わずしてずっときてしまったような人間の作ったものは、つまらないし、かといってそのウジウジだけで内攻しているのも、みじめったらしくていやだね。

要するに、そのコンプレックスみたいなものを表現の衝動というか、開き直りの力に転化している人間が好きなんだ。

それとコッポラやスコシーズが好きなのは、これからどう変わるかわからないような、まだ動いているところが、同世代としても興味がある。

それに、なんといっても彼らは、新しい世代なんですよ。つまり、監督のなり方にしても、いわゆる助監督を何年かやっていてというのではなく、自分でプライベートなフィルムを作っていたり、シナリオを書いていたり、編集屋あがりだったり・・・・・・。

だけど彼らが偉いのは、それがディレッタントに終わっていないということね。
稼ぎもすごいしね。

日本でもそろそろ、そういう行き方が出てくるんじゃないかな。
いま本気で自分の、自分たちの映画をやってるのは、自主映画などを作っている連中しかいないんじゃない?

8ミリなんて、もう普通でしょ。ぼくらのころは8ミリ撮るなんて思いもつかなかったよ。

まあ『網走番外地』のスチールをみて映画を志した人間だから、素人的なのやディレッタントはいやだったということがあるけどね。

大学の映研なども、最近はわりと楽しむということを知っているみたいだし、そこらへんから新しい人たちがワッと層になって出てくるんじゃないかな。

そのためにも、自分を含めて、もうちょっと何かをすることが必要だということは痛感してますけれど・・・・・・。(談)

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↑インタビュー記事ここまで↑

※原文ではほとんど改行がなく読みにくかったので、PCやスマホでも読みやすいよう適当な場所で改行をしている。それ以外は漢字や人名表記も含め原文に忠実。

この記事で長谷川和彦は好きな監督、影響を受けた監督を5人挙げている。

①バスター・キートン
②トニー・リチャードソン
③フランソワ・トリュフォー
④マーティン・スコセッシ
⑤フランシス・フォード・コッポラ

今、本人に同じ質問をしたらどの監督の名前を挙げるか、どんなインタビューになるのか、1977年から考え方がどう変わったか、興味がある。

世界の名監督100人―グラフ外国映画史 (1977年) 世界の名監督100人―グラフ外国映画史 (1977年)


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2013年4月 5日 (金)

ヤンマガで若杉公徳×園子温 スペシャル対談特集!

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講談社のウェブサイトをチェックしてたら、こんなの見つけた。


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ドラマ24『みんな!エスパーだよ!』放映記念!
若杉公徳先生 × 園子温監督 スペシャル対談!! 【19号:4月8日発売】

ドラマ24『みんな!エスパーだよ!』
4月12日(金)よりテレビ東京系にて放映開始を記念して、
スペシャル対談企画が4号連続掲載!!

第1弾は、若杉公徳先生 と 園子温監督!!

詳しくは、2013年4月8日(月)発売のヤングマガジン第19号にて!!

毎週金曜 深夜0時12分〜放送!
(テレビ大阪は毎週月曜 夜11時58分)
番組詳細は、ドラマ24『みんな! エスパーだよ!』公式サイトにて!!

(2013年04月04日ニュース

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来週(4/8)発売のヤングマガジンで『みんな!エスパーだよ!』作者の若杉公徳と園子温の対談特集が組まれるそう。

これは要チェック。

2013年3月31日 (日)

【遅報】漫画「みんな!エスパーだよ!」が園子温、入江悠などの手でドラマ化!

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少し遅めのニュースだが、後々のことを考えて備忘録的に記事を書いておく。

若杉公徳の人気漫画『みんな!エスパーだよ!』が園子温、入江悠などの手でドラマ化されることになった。

みんな!エスパーだよ!予告編動画
(YouTube テレビ東京公式チャンネル)



この予告編動画の説明には「みんな!エスパーだよ!」のあらすじについてこう書かれている。

「鬼才・園子温監督がドラマ24に殴り込み!!
愛知県東三河地方で巻き起こるのは超能力­戦争か!?
はたまた青春爆発グラフィティか!?予測不能な狂騒劇が遂に幕を開ける!!」

よくわからんがテンションだけは高そうだ。


監督は園子温、入江悠など。

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出演は染谷将太、夏帆、真野恵里菜、マキタスポーツなど。

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監督は毎回異なる形式だそう。


第1話は園子温が監督をしている。


園子温は過去にテレビドラマの監督を『時効警察』(2006年)と『帰ってきた時効警察』(2007年)の一部でやっていて、今回の『みんな!エスパーだよ!』はそれ以来6年ぶりとなる。

時効警察 DVD-BOX


帰ってきた時効警察 DVD-BOX


麻生久美子が可愛かったな...!



第2話と第3話は入江悠が監督を務めている。


入江悠は『SR サイタマノラッパー』シリーズなどで有名な人気監督だが、過去にテレビドラマ4作品の監督もしている。

以下の4作品だ。


■同期(2011年)

同期【DVD】


今野敏の原作小説をWOWOWがドラマ化した1話完結の警察サスペンス。

松田龍平、栗山千明、竹中直人が出演している。

理由もなく懲戒免職となった公安刑事が、その直後に失踪し殺人事件の容疑者として名前が挙がる。

そんな同期の親友の行方を追う若手刑事が、立ちはだかる警察組織の壁にぶち当たりながら真実を追究してゆく。



■ブルータスの心臓(2011年)

原作:東野圭吾 3作品 DVD-BOX 「11文字の殺人」「ブルータスの心臓」「回廊亭殺人事件」


超人気作家・東野圭吾が原作のミステリー。

藤原竜也、内山理名、加藤あいが出演している。
フジテレビで放送したドラマ。

ロボット開発のエリート研究員が、勤務先の産業機器メーカーのオーナーの娘婿になるもくろみを持ちつつも、元恋人から妊娠を告げられ、ある策謀に巻き込まれる。

DVD-BOX(東野圭吾原作のドラマを3作品収録した全287分)で観ることができる。

ほかに『11文字の殺人』『回廊亭殺人事件』が収録されている。



■クローバー(2012年)

クローバー DVD-BOX


原作は500万部売れた平川哲弘の人気コミック。
入江悠が全話を監督している。

青春ヤンキードラマというジャンルに分類されるらしい。



■ネオ・ウルトラQ(2013年)

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WOWOWで現在放送中。
円谷プロが製作しているウルトラマンシリーズ。

田辺誠一などが出演している。
4作品の中でこれだけはまだ観てない。



レンタルで観る場合は、『同期』、『クローバー』は都市部のでかいTSUTAYAで借りることができる。
『クローバー』はDVD版だけでなくBlu-ray版も置いてある。

『ブルータスの心臓』は単品ではないからか、残念ながらレンタル解禁していない。

『ネオ・ウルトラQ』は現在放送中なので未ソフト化である。



園子温も入江悠も好きなので、今から12日の放送が楽しみだ。

後々まで語られるようなドラマになるんじゃないかと勝手に期待している。

「みんな!エスパーだよ!」、今のうちに録画予約しておこう。


テレビ東京「みんな!エスパーだよ!」公式サイト
4月12日(金)スタート
毎週金曜日深夜0時12分~

2013年3月30日 (土)

ザ・水道橋in座・高円寺vol.1 園子温芸人デビュー

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4月30日(火)に高円寺にて園子温と水道橋博士によるライブが開催されることになった。

去年、園子温が「芸人宣言」をして多くの人を驚かせたのは記憶に新しい。

映画界の革命児が、「これからは映画監督だけでなく、お笑い芸人としても活動するのだ」となぜか突然言い出したのでみんなビックリしたわけだ。

なぜ今芸人になるのかという理由について、園子温自ら、著書『非道に生きる』や、ニッポン放送『園子温のズバリ!ラジオ』(2013年1月25日放送)などで語っている。

本当にエネルギーに溢れた型破りな人物である。

それからしばらく経って、「芸人・園子温」の情報が全然聞こえてこないので、その後どうなったんだろう、もしかしてもう芸人は諦めたのかなといった感じで、半分忘れていた。

で、ときどき「どうやら水道橋博士の下に弟子入りしているらしい」というような断片的な情報が流れてきて、おお...ほんとにやってるんだ...!という感じだった。

そんな中で流れてきたこのライブ開催のニュース。

このニュースを見てすぐに私は最寄のローソンに向かい、チケットを購入した。

園子温の映画はもちろん、園子温の存在自体に興味がある私としては、どうしてもこの芸人デビューを見ておきたかったからだ。

「芸人・園子温」としてのライブで「映画監督・園子温」ではない「人間・園子温」が見られるのではないかと今のうちからワクワクしている。

 

『ザ・水道橋 in 座・高円寺 vol.1  ~園子温芸人デビュー~』
出演:水道橋博士、園子温

2013年4月30日(火)
【昼の部】開場13:30 開演14:00
【夜の部】開場18:30 開演19:00

会場: 座・高円寺2
(杉並区高円寺北2-1-2 B2F)

【全席指定】
[前売]3,000円(税込)/[当日]3,500円(税込)

【チケット購入】
ローソンチケット
Lコード:36839
電話予約:0570-084-003
※2013年3月17日(日) 12:00より販売開始!

 

【お問い合わせ】
オフィス北野 03-3588-8135

2012年12月21日 (金)

園子温のイベント“ソノフェス”が名古屋シネマテークで開催!

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園子温の初期の貴重な作品を映画館で観られる...!

そんなイベントが名古屋で開催されることになったということでうれしい。

その名も「ソノフェス」。

1月19日(土)~24日(木)に、名古屋シネマテークで開催されるとのこと。

http://cineaste.jp/

先日、園子温が中日新聞のコラムで、名古屋の2つの映画館をべた褒めしていた。

1つは、先日亡くなった若松孝二監督が設立した「シネマスコーレ」であり、

もう1つはこの「名古屋シネマテーク」だった。

「シネマスコーレ」も「名古屋シネマテーク」も、上質でシネコンでは観られないような映画を多く上映している。

まさに映画ファンのための貴重な映画館といった感じ。

そんなシネマテークで「ソノフェス」が行われるのだが、その上映作品がすごい。

園子温のフィルモグラフィーの中でもかなり初期の、貴重なものばかりなのである。

上映作品は、

・『ラブソング』(1984)

・『俺は園子温だ!!』(1985)

・『愛』(1986)

・『男の花道』(1986)

・『自転車吐息』(1990)

・『決戦!女子寮対男子寮』(1988)

・『部屋 THE ROOM』(1993)

・『風』(1998)

・『桂子ですけど』(1997)

の9作品である。

実はこの9つの作品は先日発売された「園子温 初期作品集 DVD-BOX」に収録されているのだが、TSUTAYAとかのレンタル店には置かれてないものがほとんど。

(調べてみたところ、日本一でかい渋谷のTSUTAYAにも、『ラブソング』、『愛』、『男の花道』『決戦!女子寮対男子寮』『風』の5作品は置いていないことがわかった。

この5作品は単品で売られていないからか、そもそもレンタル解禁していない模様。)

この9作品は次に映画館で観られるのはいつかわからないので、園子温ファンは絶対に観に行ってほしい。

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【名古屋シネマテークの「ソノフェス」日程】

1/19(土) 『ラブソング』(1984) 『俺は園子温だ!!』(1985) 『愛』(1986) ←3本立て

1/20(日) 『男の花道』(1986)

1/21(月) 『自転車吐息』(1990)

1/22(火) 『決戦!女子寮対男子寮』(1988)

1/23(水) 『部屋』(1993)

1/24(木) 『風』(1998) 『桂子ですけど』(1997) ←2本立て

※連日20:35~ 1回上映

※入場料 1,200円(当日券のみ)

http://cineaste.jp/f_pdf/201301.pdf

園子温の最新作『希望の国』も名古屋シネマテークで上映されているので、

まだ観ていない人はせっかくなのでついでにシネマテークで観てほしい(雰囲気がいい映画館なので...)。

2012年12月17日 (月)

鬼才・園子温が影響を受けた17冊の本

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先日までジュンク堂池袋本店で、「園子温監督 選書フェア」というイベントが開催されていた。

園子温監督自らが、影響を受けた本を17冊選んだらしい。

私の家はジュンク堂から遠いので開催期間中に行けなかった・・・。

で、園子温が選んだ17冊ってどんな本なんだろう、と思って調べてみたんだけど、そのブックリストがネット上になかったので、ジュンク堂池袋本店に直接電話してきいてみた。

リストは以下の通り。



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金子光晴の代表的な詩を初期から晩年にいたるまで収録した文庫本。

園子温は17歳で詩人としてデビューしていたので、その当時に影響を受けていた本だと思う。

同じ愛知県出身の詩人ということで親近感を得ていたのかも。

金子光晴は、日本の伝統や権力支配の構造を暴露・批判したことで知られる詩人。

代表作の詩集『鮫』(すべて収録)は、徹底したエゴイストで、一貫して「異邦人」でありつづけた作者の本領が発揮された昭和詩史上最も重要な作品の1つ。

ほかに『こがね虫』『蛾』『落下傘』『愛情69』といった詩集から秀作が収録されている。



02 寺山修司 『青少年のための自殺学入門』













充分に生きるために、死の確固たる思想を打ち立てることを軽妙な筆致で提唱する、寺山修司版自殺マニュアル。

「園子温は寺山修司と似ている」と指摘する人もいるので、この本をはじめとする寺山修司の本に多大な影響を受けていると思われる。

実際に園子温は、13歳のときに寺山修司監督『書を捨てよ町へ出よう』に衝撃を受け、17歳のときに寺山修司の影響で東京へ家出している。


03 ファスビンダー 『ブレーメンの自由』


ニュー・ジャーマン・シネマの代表的作家ファスビンダーの戯曲。

工場経営者の妻、ゴーシェが女性としての抑圧を逃れるために次々に殺人を犯していく物語。
園子温の激しい作風はこういうところから影響を受けたのかな...と思う部分が多い。


04 パゾリーニ 『パゾリーニ詩集』

異端と醜聞、歴史と性愛の交錯点で、20世紀イタリアを駆け抜けた不世出の詩人の軌跡。

映画監督(『ソドムの市』『アポロンの地獄』『テオレマ』『奇跡の丘』など)や
小説家(『生命ある若者』『アッカトーネ』など)としてのパゾリーニは日本でも有名。

だけど、詩人としてもパゾリーニは天才的な才能を発揮した。

園子温は詩人としてデビューした頃に影響を受けていたのかな、と思う。



05 近代映画社、SCREEN編 『ヴィットリオ・デ・シーカを感動する』


イタリアのネオ・リアリスモ(ネオリアリズム)の先駆者であり巨匠である、ヴィットリオ・デ・シーカの作品の数々をその映画人生と共に分析した貴重な一冊。

ヴィットリオ・デ・シーカは、1951年の『ミラノの奇蹟』でカンヌ国際映画祭グランプリを、1971年の『悲しみの青春』でベルリン国際映画祭金熊賞を受賞している。

ほかに作品は、『靴みがき』、『自転車泥棒』、『昨日・今日・明日』、『ひまわり』など。



06 ジャン・ジュネ 『泥棒日記』


ジャン・ジュネはフランスの作家で、窃盗や乞食、男娼、わいせつ、麻薬密売といった犯罪を繰り返して投獄されていた経験を持つ。

刑務所の中で書いた作品で才能を認められ、終身禁固刑の求刑を前にジャン・コクトーらが介入し、自由の身となった。
その後にサルトルらの請願により、大統領の恩赦を獲得したことでも有名。

この『泥棒日記』は1949年に出版されたジュネの代表作である「半自叙伝」。
この小説は、悪徳の哲学的表現であり、退廃の美学作品といえる。

サルトルが言うには、同性愛、盗み、裏切りを犯罪者側の視点で描いた完成度の高い作品はジュネ以前はなかったのだそう。
日本では三島由紀夫もこの作品を絶賛しており、ジュネのほかの作品では推薦文も書いている。



07 大島渚ほか 『パゾリーニ・ルネサンス』


大島渚、四方田犬彦、浅田彰、大野裕之といった豪華執筆陣が、孤高の映像作家・詩人パゾリーニのすべてを語り尽くす。

日本ではどういうわけか、パゾリーニの評論本はこれまでほとんどなかった。

この本ではパゾリーニを深堀りしていくことはもちろん、イタリアの表現全般について(映画・文学など)についても書かれている。



08 石井輝男 『完本 石井輝男映画魂』


以前ワイズ出版から出ていた『石井輝男映画魂』に新データや原稿を加え、グラビアページを削除し、改変、文庫化した完全版。

センチメンタリズムとモダニズム、耽美と猟奇…、「網走番外地」シリーズや異常性愛路線…。

奇想あふれる石井映画の世界を、萩原朔太郎賞受賞詩人・福間健二によるインタビューと詳細フィルモグラフィーで集成。

『リングの王者 栄光の世界』から『ゲンセンカン主人』までの全作品インタビュー、『ゼンセンカン主人』から『盲獣vs一寸法師』までの論考、全作品新版フィルモグラフィー。



09 ヘンリー・ミラー 『北回帰線』


現代アメリカ文学の代表的作家ヘンリー・ミラーは、大胆な性描写や、現代文明への激しい批判にあふれた作風で知られている。

この『北回帰線』はミラーの代表作で、性描写が大胆すぎるため長年発禁処分をなっていた。



10 渋谷哲也、平沢剛 『ファスビンダー』


この本はファスビンダーの研究本。

ファスビンダーへのインタビュー2本や、ファスビンダー作品の常連女優による座談会も収録している。
国内外の評論家がファスビンダーについての論考を寄せている貴重な本。



11 大島渚 『わが封殺せしリリシズム』


日本のヌーヴェル・ヴァーグの旗手として戦後日本映画を牽引した革命児・大島渚。

世界的な映画作家の感動的なエッセイ集。



12 中原中也 『中原中也詩集』


中原中也は、平易な言葉で耽美で切ない世界をえがいた戦前の詩人。

若い頃の詩人としての園子温に影響を与えたのだろうと思う。
中原中也の入門書としてもいける一冊。



13 立松和平 『映画主義者 深作欣二』


深作欽二は『仁義なき戦い』シリーズや『バトル・ロワイアル』などで知られる言わずと知れた邦画界の巨匠。

この本は、立松和平が深作欽二の周辺に取材を重ねた渾身のノンフィクション。
菅原文太、千葉真一、山城新伍、岡田茂、高岩淡などにインタビューしている。



14 ロートレアモン 『ロートレアモン全集』


ロートレアモンは、1846年、南米ウルグアイの首都モンテビデオ生まれ。

特異な散文作品『マルドロールの歌』を刊行し、1870年に24歳でパリにて死去。
生前はまったく無名であったが、20世紀になって再発見され、今日ではランボーなどと並ぶ最も重要な詩人のひとりとして熱狂的な支持を受けている。

強烈な毒を孕んだ麻薬的魅力で人を惹きつけて放さない『マルドロールの歌』、深い謎を秘めた『ポエジー』などを収録。

最新の研究をふまえたコンパクトな註解がついている。



15 ファスビンダー 『ゴミ、都市、そして死』


登場人物は売春婦、そのヒモ、金持ちのユダヤ人(地上げ屋)、 その取り巻き(おべんちゃら使い)、警察署長、マリー=アントワネット、など。
これらは作者が都市住民を代表するものとして選りすぐったものということらしい。

ファスビンダー関連の本が17冊中3冊もあるので、ファスビンダーは園子温にかなり影響を与えているんだろうと思う。



16 ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟』





ロシア文学の巨匠中の巨匠ドストエフスキーの最高傑作にして、集大成的作品。

世界文学の歴史上、最高傑作であると言う評論家も多い。
小説のあらゆる面白さが詰め込まれている。

物欲の権化のような父フョードル・カラマーゾフの血を、それぞれ相異なりながらも色濃く引いた三人の兄弟。

放蕩無頼な情熱漢ドミートリイ、冷徹な知性人イワン、敬虔な修道者で物語の主人公であるアリョーシャ。

そして、フョードルの私生児と噂されるスメルジャコフ。
これらの人物の交錯が作り出す愛憎の地獄図絵の中に、神と人間という根本問題を据え置いた世界文学屈指の名作。

長編小説なのにあっという間に読了してしまう面白さがある。



17 ロベール・ブレッソン 『シネマトグラフ覚書』

『抵抗』、『スリ』から『ラルジャン』まで、傑作の数々を監督し、現代フランス映画史上に屹立する巨匠ブレッソン。

4半世紀にわたり、演出のかたわらで彼が綴りつづけた《映画=シネマトグラフ》への、叡知にみちた言葉たち。

氾濫と囲繞が問われる映像の時代に、その意味と可能性を真摯に考えるすべての人々へむけ、若き詩人の繊細な訳をとおして贈られる断想集。




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そのほかに、園子温関連の本も並べられていたとのこと。




園子温 『非道に生きる』

園子温が半生を赤裸々に語った自伝型エッセイ。

子供時代や下積み時代の行動、観客を集める為に行った営業方法など、正に天才だと感じるエピソードも多数紹介されている。



松江哲明ほか 『園子温映画全研究1985-2012』

園子温とも親交がある2人(映画監督・松江哲明と映画評論家・モルモット吉田)が園子温の全映画作品を研究した本。

園子温は一般に知られていない作品も多いのでこの本はかなりタメになる。マストアイテム。



園子温 『希望の国』











映画 『希望の国』 の原作で、半ドキュメンタリー小説。

「約何万人が死んだ、苦しんだ。
文学なら、映画なら、正確に数えあげろ!
たった一つの何かを無視するな! 」

福島での原発事故をモデルに、原発事故が引き起こす家族の物語を描く。


ダリオ・トマージほか 『カオスの神、園子温』












ヴェネツィア、トリノで絶賛したイタリア評論家陣による園子温批評が待望の邦訳。

デビューから最新作『希望の国』までのレビューと論考、本人へのインタビューも収録。

「<憎しみ>はあらゆる感情の中でもっとも<愛>を含んでいる。
憎しみは愛の源泉で、愛の始まりだ。僕は<憎む>人間だ」

大島、寺山といった日本人監督のほか、パゾリーニ、ファスビンダーなど世界の巨匠との
比較考察を基に、グローバルな映画史の観点から読み解いていく。
<世界>の園子温が見えてくる、初の本格批評集。



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私は、ここで紹介した21冊(17冊+4冊)は全部読もうと思っている。

(今15冊くらい読んだところ...)

純粋に面白い本が多いので園子温の映画をまだ観たことがない人にも是非読んでほしい。